黙々と作業する団員らの姿を見て、「彼らを駆り立てるものは何であろうか」と想った。
4月中旬、南相馬市原町区の消防団が海岸近辺で依然、行方不明者の捜索をしていた。この頃は30キロ圏内が屋内退避指示地域だったため、自衛隊は勿論のこと、警察による捜索すら行なわれておらず、消防団がボランティアとして活動を行なっていた。
ボランティアと言うと聞こえは、良い。だが活動内容は行方不明者の捜索、そして行方不明者の多くは遺体となって発見されることが多いのだ。ましてや放射能という目に見えない危機と隣り合わせの地域である。多くの団員は平時には別な仕事をしているため、彼らの精神的負担は想像以上であろう。
そんな彼らの活動を目の当たりにした時、私は迷わず彼らの元へ歩み寄り、分団長の大川博さんにお話を伺った。大川さんは原町区在住で、地震・津波の大規模な被害は免れ、震災直後からほぼ無休で活動に参加している。仲間の団員の中には、家族を避難先に置いて自身だけ原町区に戻り、活動に参加している者もいるという。大川さんは、自分にとって、この活動とこの活動に参加している団員が誇りである、と言い切った。そして消防団の活動に加わっている理由をお伺いすると、家族の元に遺体を一日も早く戻してやりたいという、遺された家族を「想いやる気持ち」からだと言う。
これを聞いて私は、はっとした。「想いやりの気持ち」とはとても日本人的な精神性だと私は思う。私は自身の想像力の甘さを自戒すると同時に、この時一つのことを思った。彼らが今後直面するであろう精神的苦痛を。
願わくば、無理をすることだけは避けて欲しい。
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