小高名物の野馬追火祭り。 夕闇に凱旋した武士たちを沿道に焚かれた篝火と火の玉とが出迎える。 古来より絶やすことなく灯していた火。 今年は小高の地で武士を迎えることもできなければ、火を焚くことさえ叶わなかった。 代わりに今年は原町のお祭りで小高の火祭りが再現された。 小規模ながら闇夜に燈された火の玉は夏夜の微風に揺らめき幻想的だった。 お祭も終盤に差し掛かった頃、火種が切れた火の玉が一つ、また一つと朽ちていった。 風前の燭のなか、懸命に燃えようとする火々があった。 動かざる様は、まるで火が伝統を絶やすことを頑なに拒んでいるようだった。
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